俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

言葉にした途端、急に吐き気を催したような感覚があり、思わず手で口元を覆う。

だが、出てきたのはゲロではなく。

…熱い、涙だった。



「れ、伶士…?」

「お、おれはっ…なずなを、裏切って、殺そうとしたのか…?」



目の前のなずなの顔がわからなくなるぐらい、視界がぼやけて滲んできた。

そして、溢れた涙がポトッと零れ落ちる。



だが、なずなはヨーテリを阻止することを既に諦めたのか、落ち着いた様子て俺の問いに静かに答える。




「…違う。伶士のせいじゃない」

「だ、だって、操られて、首を絞めようとしたって…」



徐に言葉をゆっくりと発して尋ねるが。

なずなは真顔で首を横に振る。



「…伶士は操られていたんだ。伶士は悪くない…」

「…何でだよ!」



思わず声を張り上げてしまった。

ヨーテリが咄嗟になずなを背に庇うように間に入ってきて、俺に対してグルルル…と、唸って威嚇する。



だが、そんなのにビビってる場合じゃない。

なずなの変わり果てた姿を見て痛々しく思いながら、ヨーテリには構わずになずなに問いかけた。
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