俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
尊い者一人の命と、尊い者を護る沢山の者の命。
どちらが大切か。
(自分の答えは、それではない…!)
『…ああああぁぁぁぁっ!!』
断末魔の切り裂かれるような悲鳴を耳にしたところで、体をビクッと震えて目が覚めた。
ガバッと顔を上げて、辺りを警戒しながら見回すが…そこは、先程訪れたなずなの家のリビングだ。
…あれ、俺。何してる?
すると、腕の中にある柔らかいものに気付く。
「うーん…」と、寝ぼけた声を出した主は、大切な大切な人だった。
そして、現在のとんでもない体勢に気付いてしまう。
なずなはソファーに座ったまま寝ているが。
俺はなずなの腰に抱きついたまま、中途半端に上半身をソファーに預けている状態。
…え?俺、ひょっとして、このまま寝てたの?
「…起きたか」
頭の方から声がして、見上げる。
萎びたままのなずなの眠たそうな顔が見えた。
…あれ?先程より顔色が良いなんて、考え過ぎだろうか。
「お、俺…」
「ったく、腰に抱きついたまま泣きながら寝るんじゃねえよ、おぼっちゃま。赤ちゃんぽじゃあるまいし」