俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

「………」

恥ずかしくて気まずくて、顔を引き攣らせながら俯く。

やだ…そんな失態犯してたなんて。下手こいた。カッコ悪っ。



しかし…変な夢を見た。



(…後戻りできない、力、か…)




「ところで伶士。おまえ、もう帰れ」

「えっ。あ…」



俺が変な夢の回想をしてるなんて、知る由もないなずなは、突然、帰宅を促してくる。

唐突なので、ビックリした。

慌ててスマホを見ると、時刻は夜の8時になろうとしていた。

うわっ…俺、どんだけ寝てたの。



「忠晴さん心配するぞ。もう帰れ」

「帰れって…」



素直に『はい、わかりました』と言えない。

今、一緒にいたい。離れたくないという理由が一番なのだが。



「な、なずなは…なずなはどうするんだ」

「は?どうするって…」

「こんな状態なのに、家に一人でいるのか?メシは?フロは?…一人で大丈夫なのか?!」

「は、はぁ?」



こんなガリガリ激ヤセして、今にも死にそうに思えるヤツを、一人置いて帰れるわけがない。

歩くのがやっとで、虫の息なのに。

一人にしたら、孤独死しかねない!
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