俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

「忠晴、俺の着替え…持ってきてくれた?」



恐る恐る聞いてみると、忠晴は眉毛のひとつも動かさず、表情崩さず答えた。



『何を言ってるんですか。持ってきてるわけないでしょう』



やはり…!



「か、帰らないぞ!俺は、帰らない!帰れ!」

『帰らないその理由がどういう理由かわかりません。取り敢えず中に入れて頂けませんか』

「い、嫌だ…!」

慌ててストレートに拒否すると、ここで初めて忠晴は眉を顰めた。

『嫌だとは。籠城気分を味わっているのですか?』

「…なんて辛辣な!」



すると、奥の玄関でガチャッと音がする。

まさか…!



「…と、いうか開いてました」



そこには、開いたドアから顔を覗かせる忠晴の姿が…!

ああぁぁっ!玄関の鍵、閉めてなかったのか?!

というか、何でもうそこにいるの?てっきりエントランスにいると思っていたのに!



「オートロックは?!…おまえ、ワープしたのか!」

「何をおかしげなことを言ってるのですか。やはりパニックになってますね。…帰りますよ」



淡々と言葉を突きつける忠晴は、「おじゃまします」と中に入ってくる。

< 389 / 541 >

この作品をシェア

pagetop