俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
菩提さんが補足のように「食事は咲哉が配達してくれるよ」と笑顔で告げてくる。
パンダですか。ピンクのパンダの出前屋さん。咲哉さんだから、フードサクヤですか。
何ですか何ですか。二人とも意地悪そうな顔して。…意地悪しないで!
だが、そんなニヤニヤと意地の悪い表情のまま、忠晴は再び質問してくる。
「…で、他には?」
「あ、あと、トイレ行く時に歩行付き添いとか、お風呂入れたり…」
「それ、アウトだと思いませんか。男性として。下心だらけの介護でしょう」
「なっ…失礼な!」
そういうエロい意味で言ったんじゃないのに!
俺の献身的に接したい思いを、下心だと?!
恥ずかしくなってカッとしたところに、忠晴は咳払いをする。
「…そういうわけで、伶士さま。あなたがここに残ったところで、何の力にもならない事がわかりました」
「なっ、何だとっ!」
「ただなずなさんの邪魔になるだけですよ」
ただ、邪魔になる。
…その一言を突き付けられて、いろんな感情が俺の中で複雑に絡み合う。
何か力になりたいのに、俺は何の力も持ってなくて。そんな無力への嘆きと。
何か力になろうとしてるのに。…ただ、一緒にいたいだけなのに、無理だ無理だと邪魔されることへの憤りと。
嘆きたいのか、怒りたいのか、わからない。