俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「微妙な発言は、奥様譲りですね。ですが、奥様は女性だから許されるのですよ。男性でしたらただのバカです」
「………」
忠晴、辛辣ですね。
お説教、いつにも増して痛い。
…ようするに、忠晴と菩提さんは。
親父がなずなを家に連れて来いと命令しているのを知りながら。
帰らないぞ!なずなといるんだ!…と、半泣きで頑張って訴えていた、何の事情も知らない俺を。
わー。こいつ、お望み叶うことも知らないで、半べそかいて頑張ってるわ。
でも、面白いからそのままにしとこ。
何なら、なずなは行くけど、おまえ一人でここに残る?ぷぷぷ。
…だなんて、心の中で思っていたに違いありません。
要するに、要するに。
やっぱり、俺はからかわれていたのです…!
(忠晴っ…!)
所詮、手の上で踊らされていたに過ぎないことを知ると、急に恥ずかしくなると同時に、ムカッ腹が立ってきた。
楯突いたもんだから、一杯食わされた…!
やられた…!
頭を抱えて恥ずかしさのあまり俯く俺を見て、忠晴はまた静かに笑う。
「私めに出し抜かれているようじゃ、まだまだです」
んにゃろっ…!