俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
…こうして、忠晴と問答している間にも、なずなは俺の家で生活するための準備をしている。
奥の部屋からは物音しか聞こえなかったが、部屋着から私服に着替え、スーツケースを片手に出て来たのを見ると、本当に俺たちと来るのかという実感が出てくる。
なずなの傍にいることが、出来るんだ。
そして、準備が整い、部屋を出る。
なずなのスーツケースは忠晴が持ち、俺はなずなに手を貸して隣を歩く。
「大丈夫か?歩けるか?」
「…うん」
なずなはまたパーカーを着ており、フードを深く被って俯いたまま、ゆっくりと足を進めていた。
組んだ腕の指先に力が入り、俺のブレザーの袖をキュッと握る。
…その、ほんの少しの感触に、胸が熱くなる。
なずなの前だからと、堪えていたものが込み上げてきそうになったが、そこは気を張って漏らさないよう、絶対堪える。
俺にしか出来ない何かを、絶対探してやろうと思った。