俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
執事にお膳立てしてもらわなければ、お坊っちゃまは彼女のお祝いも出来ないのか。残念すぎる。
ため息が出そうになるが。
『でも…何か嬉しいな』
そう呟くなずなは、お祝いメッセージ入りデザートの皿を見つめている。
えへへ…と、照れ笑いしながら。
『誕生日、最近ちゃんとお祝いして貰ってなかったから。去年は、依頼で海の上だったし』
…どんな依頼を受けているんだおまえわ。
と、言いたいところだったが。
少しばかりか喜んで貰えてると思うと、それは嬉しくて。雰囲気を壊さないようにするため、黙っておいた。
たった今、ここで見せている笑顔は。
俺だけのもの。
『…ありがと』
それが、嬉しい。
『そういうわけでね、有り難く頂戴いたしますよ?ナッツのキャラメリゼ。えへへ…』
『………』
『…ちょっと、伶士。隣に座るのはいいけど、距離近い。近くない?』
『俺がこの距離で座りたいんだから、いいんだ』
『み、密着しすぎだろ!わー!やらしっ……』