俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
未来を予知し、選択が出来るというこの唯一無二の力。
覚醒してしまえば、それを我が物にしようと妖怪や魔族だけではない。人間でさえも、喉から手を出すのではないかという話だった。
だが、今のこのご時世、どこかの誰かがこの世界を支配出来るような力は要らない。
妖怪魔族相手ならともかく、人間同士の争いの火種は要らない。
この予知の力は、この世界に存在してはならないのだ。
「そんな輩から伶士クンを護るために、なずなサンが護衛を任命されたのですが、同時に、伶士クンの予知の力が覚醒しないよう、外敵の刺激から護るという任務も課せられているのデスヨ…なので、伶士クンは我々に『護られて』下サイ」
アップダウンの無い小声で淡々と告げられる。
しかし、俺はそんなことを言いたいのではなかった。
その僅かに生じたすれ違いは訂正させて頂くため、慌てながらも反論はする。
「いっ…いやいや、そんな、別にそんな力が欲しいと言ったわけじゃなくってっ…」
「ならいいのデスが」
そう言って、玲於奈は踵を返す。
俺をその場に置いて、先に階段を降りて行ってしまった。