俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
(……)
俺は、しばらくその場に立ち尽くしてしまった。
打ち明けられた事実に対する衝撃、事実と自分の意志が相反することに、頭の整理がつかなかったのだ。
ぐるぐるぐるぐる回って…思考がどっかへ行ってしまいそうになる。
……それから、玲於奈は再び親父とリビングで話をしていた。
俺が忠晴に促されて、食事を始める頃にはもう帰ってしまったけど。
だが、それからの俺はというと、考え事にすっかり意識を囚われてしまって、上の空でいた。
食事している最中も、風呂入っていても、口を開く事なくずっと考え事をしてしまう。
…いや、上の空というよりも。
今、口を開いたら。何か言葉を発したら、感情が溢れ出そうで怖い。
堪えて堪えて、誰とも会話せずに早々に部屋に籠り…一人になった。
部屋のドアが閉まる音を耳にして。
そして、一人になった途端に。
人前では必死に我慢して堪えていた分の涙が、両眼からブワッと溢れ出た。
…もう、堪えきれない。
(何で…)
溢れ出た涙を隠すように、滲んだ視界を手で覆う。
指に感じた涙は、熱い。
その熱いものは、頬を伝ってやがて滴り落ちていた。