俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
何で…何でこんなことになったんだ?
何で、どうしてなずなが死にかけるような事態になってしまったんだ…。
(どうして…!)
いや、原因はわかっているのだ。
あれもこれもそれも、どれも全部、俺を救い出すために、護るために。
なずなは自分の使命を、ボディガードの任務を果たしたまでなのだろう。
だけど、それじゃ俺は納得出来ないんだよ。
自分の大切な人が、自分のために傷付いて倒れているのを黙って見ているだけなんて、嫌だ。
絶対、嫌だ!
俺にだって、護りたいものがあるんだよ。
大切な人を護りたいんだよ。
もう、二度となずなにあんな無茶をして欲しくなかったから、俺は持っているだけの限りある力で、抗う。
例えどんなに微力で簡単に抗えないとは、わかっていても。
これまでの件を通して、それを自分の『正義』と掲げて、決意していたことなのに。
…だけど、まさか。こんなにも簡単に打ち砕かれるなんて。
一度ならず、二度までも…最悪だ!
何の力も持たないがために…!
感情を堪えきれず、もう立ってもいられなくなって、膝から崩れ落ちる。
止めどなく涙は溢れるけど、声だけは決して漏らさず、その場で泣き崩れた。