俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
ただ、自分の不甲斐なさと、立場と。
『無力』を呪うように。
何故…俺は『無力』でいなくちゃならないんだ。
何故、人を盾のようにして『護られて』なくちゃいけないんだ。
せめて、自分の大切な人だけでも護れる力を、何で俺は持っていないんだ…!
(力が…)
護る、その為の力が…欲しい。
なのに…。
《…君は、その力が欲しいと、願ってはいけない》
…なんで、ダメなんだよ!
何故、少しも求めるのもダメなのか、到底納得出来ない、理解出来ないのは当然だ。
唯一無二の尊い力。
しかし、目覚めさせてはいけない忌々しい力。
持つことを願ってはいけない…望まれていない、力。
今の俺には、それしか持っていない。
…何でだよ。どうしてだよ。
他に、俺は何も持っていないのかよ!
(何でだよ…)
でも…何かに縋るように、手を伸ばして空を掴んでも、本当にそこには何も無い。
ただ拳を作ったに過ぎないことがわかると、改めて露呈されたこの『無力』な立ち位置に絶望して嘆くしか出来ないのだ。