俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
美森は黙って部室からアイスパックを持ってきてくれた。
自分の不甲斐なさとか、悔しさとか。そんなものに悲しんで泣き明かしたら、また泣きながら寝落ちしていて、朝を迎えてしまった。
家を出る前に一目でも顔を見たくて、なずなの部屋を訪れるが。
なずなはまたしても来訪に気付くことはなく、寝ていた。
激ヤセの見た目だし、まさか死んでるのでは…と、一瞬ヒヤリとしたが、寝息が聞こえると安堵する。
うちで保護した(…)のはいいけど、一言も交わせていない状態だった。
担任の先生が教室に姿を見せると、やがて周りは静かになる。
何となく俯きがちになり、貰ったアイスパックに腫れた両目を埋めた。
冷んやりとして気持ちいい。
…とは、思いながらも、頭の中に巡るのは昨日の出来事のプレイバックと、葛藤による絡み合った複雑な感情だった。
なずなが、攫われた俺を助けるために、死にかけた。
命は取り留めたもの相当の深傷で、そこらの霊や自分の式神が見えなくなるぐらい、霊力を使い果たしていた。
もう、無茶をさせまい。二度とこんな目に合わせないと思っていたのに。
事は起こってしまった。