俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

でも、こうして冗談言って、たくさんどつき合って、たくさん笑って。

悲しい思い出を、楽しい思い出で上書きできればいい。



…なずなにとって、誕生日とは。

辛い思いをした、忌むべき日になってしまったかもしれない。

年に一度の特別な日が…みんなに祝福されるべきたった一度の日が、そんな日になってしまうなんて、とても悲しいことだ。



だから…俺が、お祝いしたかった。

忠晴のお膳立てですが。



これからもこうして、俺がなずなの楽しい思い出を作りたい。

その辛い思い出を、心の隅に追いやれるぐらいの、素敵な思い出を。



これから何が待ち受けているのかは、わからない。

聞きたいことだって、ある。

…けど、それはひとまず置いといて。



『…また来るか』

『もちろん。もう連れてきてくれないのなら、張っ倒すぞ』

『………』



たくさん、幸せになろう。







…あまりにも楽しかったので、あの日のことを思い出すと顔がニヤケてしまう。

それをまんまと颯太に見られ、「ごちそーさまです」と苦笑いされた。

すみませんね。

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