俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
よく寝るな…なんて思いながら、顔でも見ようかと、そっと中に入る。
ドアをカシャンと閉めた時、声が聞こえた。
「…おかえり」
慌てて振り返ると、そこには。
寝ていたはずのなずなが、目をパッチリと開けている。
体を起こさず、布団の中に入ったまま視線だけこっちに向けていた。
「…起きたのか!」
驚き嬉しさのあまり、慌ててベッドの傍へと駆け寄ってしまう。
「大袈裟だな」と、呆れたような呟きが返ってきた。
…えぇい!大袈裟だろうが何だろうが、嬉しいもんは嬉しいんだ!
「もうだいぶいいのか?メシは?肉は?カルビあるぞ?!」
「いきなりなんだそれ。だいぶいいけど…肉はまだ無理。カルビなんて胃もたれして吐くわ…」
「えっ…」
「固形物はまだ無理だって…」
本人の口から聞くと、リアルに衝撃だった。
なずなが肉を食えない?
まさか、こんな日が来るとわ…。
本当に、手術後の患者さんみたい。
「そ、そうか…」
「でも、昨日よりは気分はいいよ。忠晴さんいてくれると思うと、安心して休めたし」
忠晴が役に立ちましたか。忠晴が。