俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

それに、なずなが肉を食えないというショックに打ち震える間もなく、顔を見るとだいぶ顔色も良くて、萎びたきゅうりの顔がいくらかふっくらとしてきたのがわかる。

まだまだ激ヤセ状態には変わりないが。

ちょっとずつは良くなっているのか…。



少しずつだが回復している。その現実にホッとして、口元が綻ぶ。

そんな良くなった顔を見つめ続けていると、なずなはハッとしてフードで顔を隠していた。

「…あまり見ないでくれる」

「え。何で」

「見られたもんじゃねえ顔だろ…」



その一連の仕草にキョトンとしてしまう。

女心としては、痩せ細った顔を見られたくない…いや、それはわかるんだけど。

でも、この後に及んでまだか。



「別に、気にしないんだけど…何回も見てるし」

「わ、私は気にするんだ!」

「だって、その顔も一応なずなの顔だろ。俺は別に…」

「……これは本来の私じゃない!バグだ!」

「バグ?…バグ?」

思わずブフッと吹き出して笑ってしまった。



バグと言えばあのワンコロぽめのビフォーアフターを突然思い出してしまったのだ。

虎なのに何故か犬?みたいな、あの衝撃を。
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