俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
しかし『伶士のくせに』か…。
またまた何だか嬉しくなってしまった。
罵倒されたはずなんですけど。
それからというもの、食事していても、風呂に入っても、さっきの一連のやり取りを思い出すと、ニヤケてしまう。
記憶のなかった週末をも含めて、久々のいつものやり取りを味わったことに喜びを隠せない。
…俺、罵倒されて喜んでるんじゃないんですよ。
元気も体内の水分も無くなっていたなずなが、いつもの調子を見せたことが嬉しいのですよ。
そんな一抹の幸せを感じて、調子に乗る。
…もっと、一緒にいよう。
「なずな、一緒にテレビ見よう」
「……」
自分ののむヨとなずなのレモン水を片手に、なずなの部屋に押し掛ける。
しかし、ヤツは俺の来訪に気付いた途端、無言で再び布団の中へと潜り込んだ。
もぞもぞと布団の中で動きはあるが、返事はない。
「…まだ怒ってんの?」
「……」
「ねえ」
「……」
話しかけても、うんともすんとも返事なし。
シカト攻撃?弱ったぞ、こりゃ。
…とは、思わない。
シカトをするならば、それはそれで対抗する術はある。