俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「今でも過去でも、誠意の問題です。前回はなずなさんの任務で目を瞑っておりましたが、今回は違うでしょう」
誠意?その言葉を出されたら、何も言えないじゃないか。
反論せず、大人しく「はいはい」と言っておいた。
俺だって、誠意を見せたいんたけどな…。
ケジメは、つける。…これから。
忠晴からあーでもないこーでもないと、懇々と説教を受けていると、車はあっという間に我が家に到着する。
忠晴が後部座席をドアを開けて、ゆっくりと足を降ろした。
「…忠晴」
「はい?」
「俺…ちょっとランニングしてくるから、荷物を中に持っていってくれる?」
そう言って、スポーツバッグを忠晴にドンと突きつける。
意外だったのか、忠晴は難しい顔をしていた。
「え?これから走りに行かれるのですか?試合後なのに」
「試合後だからだよ。ほら、今ジャージだし」
「……そうですか。では、早めにお戻り下さいませ」
「わかった」
「お気をつけて」
気を付ける?…ことが、出来ればいいんだけどね。
だなんて、心の中で捻くれた返答をする。