俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
だが、それは表には出さず、敢えての笑顔を見せて、その場を後にした。
…俺は。
これから何が起こるか、知っている。
だから、これから走りに行くのだ。
それはまるで、家から離れるように。
…試合後だの何だのは、実は単なる口実だった。
ーーここから、離れなくてはならなかったのだ。
陽も沈みかけた、夕焼けで染まる空を横目に、言った手前、一応ランニングする。
家の敷地から出て、その周辺を周回するように。
ここは、高級住宅街の外れだ。少し奥に進めば、人気のない野原もある。
敢えて、人気のない場所へと自分の身を送り込むつもりなのだ。
ーーこれから、何が起こるかわかっていたから。
走って、走って、走る。
全力疾走するのではなく、鼓動や呼吸が昂ぶらないように、平静を保つため、落ち着かすようにゆっくりと。
でも、その一方では、明らかに見る方向の変わった自分の考察を断片的に思い返す。
…あれから。
捜査二課長に気付かされてから、今までの物事を、俺なりに解釈し直してみた。