俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「こうなれば…一気に畳み掛けてくれる!」
この人の冷静沈着、ホントに最初だけだった。
だが、こんな押し合いをいつまでもやってるつもりはない。
ホテルの屋上での件を思い出すが、この結界相撲は、お互い押し合いきって、爆発…相討ちといった結末だった。
まさか、このまま意地の張り合いで押し切れるだなんて思えないし、相討ちもしくは押し負けても、その後の対応には正直困る。
……だが、どうすべきなのかは、わかっている。
【夢殿】の記憶、なんて便利なんだ。
歴代の様々な『記憶』を辿っていくと、ただ一人、術者のような力を使う人がいた。
ただ一人しかいないというのは、その力を持てる人が限られていたのか…それとも、それまでにこの【夢殿】という立場の人が、戦う立場にあらず、その力を披露する機会が無かったのかはわからない。
歴代、どの人も『護衛』が充てがわれていたから。陰陽師だけではなく、武士とか隠密、忍者のような人とか。
その力の出番は無かったのかもしれない。
しかし、ただ一人。
その『術者のような力』をお披露目した【夢殿】がいた。