俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
結界の表面に、糸が張り巡らされているのが見える。
何の糸かはわからないが、そこを潜り抜けるように手を通して、ヤツの体へと手を伸ばした。
狙うは黒曜鬼の心窩部。
そこが、ヤツの弱点。ということにも気付いてしまった。
「何故、結界を擦り抜けっ…!」
俺の右手のただならぬ状態、自身の弱点『核』のある箇所を直接狙われているという、想定の範囲外の連続にますます狼狽えている黒曜鬼。
だが、俺たちの距離があまりにも近すぎて、どうする間もなく。
黒曜鬼の結界を白い炎で焼き尽くしながら、その中へと更に手を伸ばした。
あっという間に黒曜鬼の心窩部へと到達し、陽炎のように揺らめく白い炎を纏った右手が、そっと肌に触れた。
すると、俺の指を介して白い炎はボワッと音を立てて膨らんだ。
あっという間に燃え移り、パチパチと銀の火の粉を撒き散らしながら、あっという間に肌を燃やし始める。
「うあぁっ!…うああぁぁっ!」
黒曜鬼の悲痛な雄叫びが、辺り一帯に響き渡っていた。
白い炎で、心窩部の皮膚はだんだんと溶け落ちていく。
溶けた皮膚の向こうには、キラッと輝く宝石がチラリと見えた。
恐らく、これが…魔族の心臓『核』。