俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
本当に、やってしまった…。
魔族一匹、俺の手で退治してしまった…。
もう、一般人には戻れない…!
…なんちゃってね。
この道を選んだ以上、もう戻らなくていい。
だからといって、それを公にするつもりもないんだけど。
そんなことを考えながら、地に転がっている漆黒の宝石を手に取り、握って拾い上げた。
(…さて)
帰るか。なずなの待つ我が家へ。
そう一息ついて、戦場となった野っ原を離れようと足を踏み込んだ。
ーーその時だった。
「…何?その顛末。どういうこと?」
ただならぬ寒気が体を過って、声の方へと顔を上げる。
その声の主は、背の高いシラカバの枝に腰掛けて、俺を上から見下ろしていた。
まるで鳥のように。
…黒い翼をはためかせながら。
「…今の白い炎、何?」
黒い翼の彼。
リグ・ヴェーダ…!