俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
ここからだいぶ距離の離れた野っ原の入り口には、息せき駆けてくるヤツがいる。
いつものパーカーとショートパンツという部屋着にサンダルという姿で、こっちに向かって走って飛び込んでくる、ヤツの姿が…!
何でここにやってきた!
「な、なずな!」
「花魁女郎蜘蛛とやり合って生きてるだなんて、ホント悪運強いというか?命根性汚いというか?」
「なっ…何っ!」
「…それとも、タナトスの女神にひどく嫌われているのか?…どちらにせよ」
そう言い掛けて、彼の表情は険しくなる。
「…恐ろしい、怪物め」
それは、憎悪が滲み出ているとも、言える。
遠くのなずなへ送る殺気を感じて、咄嗟に叫び掛けてしまった。
「…あいつに手を出すな!手を出したら、さっきの炎でおまえの翼を燃やしてやる!」
「おー恐い。それは本当に困るなぁ。僕死んじゃう」
だが、その表情も、いつの間にかいつもの不気味な笑みに戻っていた。
揶揄われて、あしらわれた感覚に陥る。何なんだ…?
そして彼は、フフッと笑って俺に一言告げた。
「さっきの話だけど…奥の手はあるからね?」
「奥の手…?」