俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「お、おい!」
なだれ込むように手と膝のついたなずなに駆け寄って手を伸ばす。
だが「…うるさい!」と、俺の手を振り払い、バッと顔を上げて、なぜかキッと睨まれた。
あれ。
「伶士、おまえもいったい何やってんだよ!」
怒られちゃってる…何で!
「家にも寄らないで、一人でランニング行くとか!無防備過ぎるんだよ、狙われてる自覚あんのかぁっ!」
「あ…」
そういえば、なずなには何一つ告げていない。
俺の夢の中での出来事とか、実は刺客が来るのをわかってて、わざと家を離れたとか。
…まさか、ここが密かに戦場になっていたなんて、知る由もないだろう。
【夢殿】の力が覚醒して、敵さんやっつけたとか。
(…いや)
…それは、知らなくていい。
もし、知られてしまえば大騒ぎになりかねないだろう。
あ、ひょっとして…なずなの責任問題にも発展するんだろうか。
なら、尚更絶対に言わない。
自分を護ってくれる人たちが傷付かないよう、この手で護るために、力を覚醒してみました。
なんて、照れ臭いし、おこがましくて言えるわけがない。
もう、絶対秘密。