俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
なので…。
「ご、ごめん…」
取り敢えず謝る。の、だが。
「謝ればいいってもんじゃないだろが、このっ!…伶士ぃぃっ!」
「わっ」
「伶士が一人で走りに行ったって聞いて、したら、でっかい魔力が通り過ぎて、全力疾走で追いかけて、したらあのヤローがいて…あまり心配かけさすなぁぁっ!……げほっ、げほげほ」
更なる迫力で怒られた。激ヤセの上、鬼の形相。恐い。
だが、怒鳴り過ぎて酸素不足になったのか、色の悪い顔を伏せって、先程よりも更にゼーゼーハーハーと肩で荒く息をしている。
あわわ…酸素足りない、酸素!療養中の身だぞ?!
あまり怒らせちゃいけない!
酸素ボンベ!
「な、なずな落ち着け!あまり怒るな!さ、酸素…」
「…うっせぇわ!伶士のくせに!…私はもう嫌なんだよ!」
「い、嫌…?」
「あのヤローのおかげで、周りの人達が居なくなるのは、もう、嫌なんだよ…!」
今にもとって喰われそうなぐらい、鬼のような怒りの表情剥き出しのなずな、だったが。
ふるふると震えて、険しい顔で俺を睨み付けるその目には……涙がうっすらと滲んでいた。