俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
忠晴は、ジャケットをハンガーにかけてそのまま書斎を出て行った。
そこを見計らって口を開く。
「うん、あの…」
……正直、この話を親父にするべきかどうかは、迷った。
でも、じいちゃんはともかく、親父は知っておいた方がいいんじゃないかって思って。
「亡くなった、叔父さんの話…」
「……」
親父は動きをピタッと止める。
そして、徐に俺の方を見た。
まるで、何かを言いたげに。
確かに、ビックリするだろう。俺が生まれる前に亡くなった叔父さんの話など。会ったことないのに、なんて。
……でも、俺は夢の中で。
【夢殿】の記憶の中で、会ってしまったんだ。
度々、俺の夢の中に登場して、必死に語りかけてきた、あの儚げな男性。
彼こそが、先代の【夢殿】。
親父のお兄さんである…橘頼愛。
俺の叔父さんだったのだ。
叔父さんは、高校二年生の時に、部屋の中で眠るように亡くなっていた。
原因不明の心臓麻痺で病死…不審死、ともいえる。
でも、俺は夢の中で真実を知ってしまったのだ。
……これは病死なんかではない。