俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
その事実を誰も知らないなんて、遺された身内も叔父さんも浮かばれないと思った。
…これは、俺の勝手な考えで、理由も理由だし、叔父さんは誰にも知られたくなかったのかもしれないけど。
でも、叔父さんの記憶の映像には、よく幼少期の親父が出て来ていて。
せめて信頼を置いていた弟にだけは、その思いを、自分の思いそのものを知っておいて貰いたい。
そう思っているような気がしたんだ。
「兄貴の話?…ビックリした。まさか会ったこともないのに、そんな話を吹っ掛けられるとは」
親父の目は丸くなったまんまだ。言葉の通りで無理もないんだけど。
「い、いきなりでごめん」
「いや、別に良いんだけど。兄貴の話はゆくゆくおまえとしたいとは思っていたし」
「え?そうだったの?」
「…で、どんな話?昔話でもするか?…たまに話をしてやらねえと、忘れられたって泣いてるような気がするしな」
これには俺がビックリした。
まさか親父がそんなこと考えてくれていたなんて。
てっきり、悲しい過去だから口にしたくないのかと思っていたのに。
なら、話をしようじゃないか。
「……叔父さんの本当の死因なんだけど」