俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
もし、そうなれば、争奪戦は本格的なものになってしまう。
術者同士だけではない。人間同士の国を巻き込んだ争いにも、発展しかねないのだ。
なんてことだ。
自分には唯一無二力があるのに、使うどころか覚醒させてはいけないなんて。
これでは、無力も同然じゃないか。
己の非力さに嘆き、赤也の前で『ごめん…』と何度も頭を下げて涙を流すこともあった。
だが、赤也はその度に笑顔を見せる。
貴方さえ無事でいられれば、それで良いのですーーーと。
…しかし、そんな日々を何年も続けていた、ある日。
とうとう、赤也は亡くなってしまう。
禁忌に触れた魔術師の手に寄って高位魔族が召喚され、高位魔族には太刀打ちできず、赤也は命を落とした。
赤也の知り合いである天才少年魔術師が駆けつけて、その高位魔族を消滅させ、魔術師を捕縛し、難を逃れたが。
失った命は、あまりにも大きかった。
絆深く、かけがえのない存在を失った頼愛は、悲しみに打ち震える。
何故、君が命を落とす羽目になる?
何故、僕のために?
何故?
大切な存在を失い嘆くと同時に…己を呪う瞬間でもあった。