俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
自分だって護りたかったのに、そうさせて貰えない葛藤と。
喪失感と平行して、自分に対する不信感が募る。
何だ、自分という存在は。
唯一無二で尊い?自分のために、人が一人亡くなっているのに。
これじゃ、ただの人殺し以外何者でもない。
……そもそも【夢殿】というものが存在しているのが、いけないんだ。
人同士の欲望を満たすものでしかないものが、何のために継承されていくんだ?
わからない。わからない。
わからないんだ…。
自分が生きている、その意味が、その価値が…。
そして、赤也の死から一か月後。
自室の寝床の中で、眠るように亡くなっていた頼愛が発見された。
心臓麻痺で病死、とされていたが。
秘かに【夢殿】の力を覚醒させてから、頼愛は、その力で自分の命を断ったのだ。
どうせなら、この力。
自分の命を断つためではなく、大切な人を護るために、使いたかった…。
「……兄貴はよ、自分の生きている値打ちがわからなくなっちまったんだと思う」
「生きている値打ち?」
「自分の存在意義とか。クソ真面目な男だったからな?考えているうちに、鬱々になっちまったんだろうよ」