俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~



「兄貴が実は自殺していた……何となく、腑に落ちたんだよ。自分の存在意義を疑っていたんだ。これ以上納得する話はない」

「そう、だったんだ……」

「…あ、この事知ってんのは、俺と優と神威、あと柊斗しかいない。くれぐれもジジイには黙っているように」

「じいちゃん、知らないの?」

「…今更、息子は自殺でしたなんて言えねえよ。また深い悲しみを与えるだけだ。陰陽師を投げ飛ばすだけじゃ済まない。今度は総本山の屋敷壊すぞ」

「……」

深い悲しみイコール屋敷の倒壊なんて、俺のじいちゃん、どこまでバイオレンスなんですか。



その光景をなんとなく想像しては、苦笑いをこぼす。

親父も苦笑いしてんのかと思いきや…ただ、鼻で笑うのみだったけど。



「…ま、先に逝ってしまった人の分、遺された者は頑張って生きるしかないんだけどよ」



けど、その表情は清々しいような気がした。



…何だ。俺が心配すること、何もなかったのか。

だよな。親父はいろいろあった濃ゆい人生、俺の倍は生きてるんだから。

そんな悲しみもとうに乗り越えているはず。

なんだ…。
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