俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
俺の思い過ごしだったと安心して一息つくと、親父のスマホが鳴っていた。
仕事の電話らしく、邪魔しちゃいけないと思って、静かに書斎を後にする。
書斎のドアを静かに閉め、パタンと音がした。
その時。
頭の中に、ふと映像が過った。
(…あっ)
少しだけ、意識を引き込まれたような気がする。
何も無い『白』の世界へと。
そこには、先代の【夢殿】……頼愛叔父さんがいた。
《ありがとう……次は君の番だよ、伶士》
そんなことを言っているような気がした、叔父さんは笑顔で。
あの青い涙も乾いているような気がした。
(次は、俺の番…か)
…自分の意志で、この力を求めた。
俺の選んだ道は、正しいのか。
「…伶士?」
名前を呼ばれて、現実に引き戻される。
バッと振り向くと、そこにはなずながムッとした顔で立っていた。
「あ、なずな」
「何度も呼んだのに、なにしゃちょーの要塞の前でボーッとしてんだよ」
「要塞…」
「しゃちょーに怒られてしょぼーんとしてたのか?うわうわ」
「いやいや」