俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「花火大会かよ…」
「いやー。花火素晴らしいだろーぅ?俺のたんおめパーチーでいっぱい打ち上げてー!…なずな!花火の作り方知らねえか?」
「え。天界に花火師いないの?」
「というか、花火そのものがねえー!たはーっ!」
こんなに騒いでいるのだけど(…)あまりにも胸がザワザワとしすぎていて、二人の会話は頭に入ってこなかったし、豹牙が不意に見せた神妙な表情にも気付かなかった。
なずなは…。
…これから、どうなっていくのだろう。
俺が【夢殿】の力を覚醒させたことによって、黒い翼の彼が、俺を狙う大義名分が無くなった。
新たな敵が現れない限り、これでなずなの護衛の負担が減ることになる。
なずなが俺のせいで傷付くことも減るだろう。
…でも、だからといって、安心してはいけない。
黒い翼の彼との問題は、まだ続くのだ。
主と護衛という、俺たちの関係のカタチが少しばかりか変わるかもしれない、まさにこの時。
他の誰でもなく…俺が。
なずなのために、ここで何が出来るのか。
なずなにとっての俺という存在、その真価が問われる時が来るのかもしれない。