俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
玲於奈の素朴な疑問に、二人は唸るしかない。
【夢殿】覚醒を、こっちサイドに隠したがるその目的が、よくわからないのだ。
かといって、一番身近な存在となった愛しい人に「秘密の話なんだけど…」と、打ち明けている様子もない。
完全、自分の中に閉まっておいている状況だ。
「取り敢えず…そこは、様子を見ましょう。何らかの意図が彼にはあるのかもしれません」
「そ、そうだな。伶士は兄貴とはまるで違うもんな」
昨日掛けられたセリフを思い出しては、ちょっとくすぐったく、照れ臭くもあった。
「それはそうと、社長。…この結果が意味してることは、わかります?」
「へ?何だ?」
それは、窮地…ではなく、好機ともいえる。
剣軌の手が気持ち小刻みに震えているのを、橘社長も玲於奈も見逃さなかった。
窮地なのか、好機なのか。
【夢殿】の覚醒を阻止しなければならなかった陰陽師が、そう思ってはいけないのだが…。
「これで、リグ・ヴェーダが伶士くんを狙う理由が無くなりました。そして、今のヤツは仲間を全て失い、一人。……これは、好機です」
「は?どういう…」