俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

だって、そうだろ?次期当主というと。



『あ、それは…ね?』



あんなに喋り倒していた真凛の歯切れが悪くなった。

なずなの様子を伺っているようだけど。



だが、なずなははっきりと言い切る。



『…今のままじゃ、無理だ』

『え?』

『このままだと、音宮家も没落する』

『な、なず姉っ!』

『な、何で?』



そこには、現状ならではのどうもならない理由が、あった。



『…だって、当主の親父が目も醒めねえんだもん。眠り続けたままじゃ継承の儀なんて出来ない。もし親父が死んだとなると、総本山で新たに儀式をして没落せずに済むだろうが…ましてや、今のままじゃ死にもしない。だから、どうもならないんだよ』



…ようするに。

おじさんが、黒い翼の彼の術によって眠り続けていることが問題なのだ。

当主の権利は、今も眠り続けているおじさんのまま。

おじさんが目を醒ますか…亡くなるか。

どちらかに転ばないと、なずなに神童を継承することが出来ない。

よって、事実上一族没落というカタチになる。



…だから、菩提さんは一層必死なのかもしれない。
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