俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

『私は別にいいんだよ。当主継承云々が問題じゃない。一族没落しようが、何しようが親父の無念を晴らすことが出来れば問題ない』

『そんなこと言わないでよっ、なず姉!お互い一族再興頑張っていこうよ!…うちも、パパの弟の子供が総本山小学校入ったの!硯家、復活出来るの!』

『一族再興、というよりは、取り敢えず私らはあのヤローと決着は付けなくちゃならない。…そこは頑張るよ』

『わ、私だってそこは協力するけど…』




…だなんていう、お家問題のお話を聞いてしまった。



バスに乗り込み、ふと窓の外を見ると、正門からは距離があるけど、真凛は俺の乗っているバスに向かって手を振り続けている。…どこまでお見送りするんだ。

でも、まさか…あの黒い翼の彼のおかげで、そんなお家問題も複雑になってくるとは、思いもしなかっただろうに。



なずなは、これからどうなるのか。

…なんて、お家問題は俺が口出しすることじゃないか。



俺たちの今は幸せで、未来は明るいはずなのに。

その傍らには、こんな問題も生じていて。

その上、黒い翼の彼やおじさんのことも。



なずなは、今…本当に幸せだろうか。
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