俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
すると、咲哉さんは「それならどうぞ!」と奥の席を差す。
俺の反応を称賛するかのように、彼は笑顔で頷いて、咲哉さんに軽く頭を下げる。
「ありがとうございます。コーヒーひとつお願い出来ますか?」
いったい、何を考えてるんだ…!
何の解決案も見出せなかった俺は、座っていたカウンターを離れて、彼と奥のテーブル席へと移動する。
…さっきから、心臓が強く波打って仕方ない。
これから何が起こるか不安、彼が現れたことへの動揺を胸の中に留めて外は出さないように必死だった。
「賢明な判断、だね?」
お互い向かい合って椅子に腰掛けたタイミングで、彼がようやく芝居のセリフではない一言を発した。
「………」
「君と二人で話したいんだ。余計なことはしないように、ね?」
彼の視線が捉えているのは、俺の右掌に収められたスマホだ。
まさか、俺がスマホでなずなに連絡取ろうとしていたことがバレていた?
わかるだろうな…と、観念してスマホをズボンのポケットにしまう。
そして、彼を見た。
笑顔なのに、生気の通っていない死んだような目を。
「…要件は、何ですか?」