俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「ちょっと違うなー?」
「え…?」
「『夢殿』の力そのものを求めてるんじゃない。…だって、僕は夢見の見る夢を覗きに行くことが出来る『夢渡り』だ。…それに、未来を見たところで、今の僕たちにメリットは何も無い」
「じゃあ…?」
「『夢殿』の力を求めているというよりは、『夢殿』の力を保有している君そのものを求めているんだ」
「は…」
この言い方は…狙っているのは、俺の持ってるであろう『力』ではない?
その『力』を持っている俺そのものをご所望といったところなのか?
ますますわからなくなってきた。
その作った笑顔を見つめ続けても…わからない。彼の目的が。
「…少し、質問してもいいかな?」
「質問?」
「質問の答えによっては、君を解放してこのまま帰ってやってもいいけど?…何事もなく、ね?」
そう言って、彼はカウンターの方をチラッと見やる。
視線の向こうは、俺たちに背を向けてドリンクを作っている咲哉さん。
この状況に息を呑む。人質を取られているようなもんだ…!
彼は俺の顔を見て、ククッと笑う。
俺の動揺が、そんなに面白いか。