俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「悪を凌ぐ絶対的な強さを持ち、あっという間にコテンパンに悪者をやっつける。そして、助けられた者はみんな正義の味方を神のように崇めるんだ。『ありがとう、餡パンマン!次も助けてね!』だなんて。…図々しい」
急に声高となり、流暢に語り出した。
ただの無機質な笑みだったのに、表情も出てきたような気がして、勢いに押される感覚になる。
《何だ?…何だ何だ?!…悪者である僕たちを滅ぼして!この世界を救う正義の味方にでもなったつもりか?!あぁ?!》
…先日のこの発言からしても、今の最後の『図々しい』の一言からしても。
誰が憎いのか。
「…弱者である一般人を救うこと、それは偉いこと?」
この人は、相当斜め上なんだ。
「その助けた弱者だって、ただ力が無いだけで、実は相当悪い事をしてるかもしれないんだよ?…自分を傷つけた悪者以上の悪者かもしれないのに?」
「はぁ…」
「それに、その悪者だって、その弱者を傷付けるには理由があるのかもしれない。手当たり次第も…理由があるのかもしれない。なのに、ただ傷付けただけで悪者扱いされて、何の関係もない第三者にやっつけられるって、どうなの?」