俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
だが、何度考えたって、俺にはこの人の手から逃れ、対抗出来る力は何も持っていない。
…だからと言って、みすみす囚われの身になってたまるか。
(なずな…)
…実はさっき、なずなに『ここにいる』とLINEを送っている。
でも、その一文からこの状況を察知するのは、ほぼ不可能だろう。
ここに寄るなりしてくれれば、最悪連れ去られた後でも、この身を探してくれることはあるだろうか。
そう考えると、少しでもここに痕跡を残しておいた方が…。
…何をしたらいい?何をする?
あぁ…わからない。
すると、彼が、俯く俺に顔を寄せてくる。
小声で俺に指示をし始めた。
「…このまま、何も無かったかのように、僕と席を立って店を出るんだ」
「………」
指示に従わないと…ってか?
ここは一旦、観念するしかなさそうか…。
すると、コツコツと足音が近付いてくる。
「すみません、お待たせ致しました!」
この声は、オーナー神威さんの声?
…彼のさっきの注文を持ってきたのか?
「…ここには赤ちゃんもいるんでしょ?余計なこと言わないように、ね?」