俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
カウンターの向こうからは、あの美奈人少年が俺に手招きをしている。
腕の中には、あの赤ん坊のびわたんがいる。
…赤ちゃん、大丈夫なのか?おまえこそ逃げなくていいのかよ!
だが、ガタガタ言って躊躇っている場合ではない。
美奈人に招かれるまま駆け寄り、カウンターの中へと身を収める。
中には、咲哉さんが隅でなぜか小さくなっていた。
「よぉーし!咲ちゃん、今だぞ!」
「あ…うん!」
美奈人がそう指示すると、咲哉さんは頷いて電子レンジ側の目隠しカーテンをシャッと開ける。
中には、液晶画面付きの…スイッチが二つ?
「…オーナー!アラート結界入れますぅぅっ!」
咲哉さんがそう叫ぶと、向こうから「わかった!」と声が聞こえる。
黒い翼の彼と神威さんは、未だあのまま睨み合っているようだ。
電光と黒い羽毛のせめぎ合い。
「咲ちゃん、早く!」
「え、えいやぁぁっ!」
躊躇いを振り切るように、咲哉さんは声をあげ、思い切ってスイッチをパチンと入れる。
スイッチひとつにそんなに気合い必要?
…いや、場慣れしていない咲哉さんには、必要だったのである。気合い。