身代わりでも傍にいたかった

バレンタインデーの朝、大学の門で偶然翔と会うと

「真央、頂戴~」

と私はこんな朝から?と思っていると

「だって一番に欲しいもん」

と言われると心は私に無いと解っていてもキュンとする。

翔は今日何個のチョコを貰うのだろう?
それどうするだろう?と毎年悶々としている。

でも、そんな事を恋人じゃない私は聞ける訳ない・・
嫉妬して許される立場にない。

笑顔の中に自分の感情を押し殺し良い子を演じる。

真央、笑いなさい翔の彼女を演じなさいと脳に命令する大丈夫誰から見ても完璧に演じる
ズーと自分の気持ちに嘘をついて生きてるから自分自身が嘘で固まっている。

もう本当の気持ちが何なのか解らない位苦しい 

それでも翔の側に居たい気持ちが勝りこんな事態・・

本当に私ってバカ。

そんな気持ちで午前中を過ごし午後
少し時間が空き、研究室に行こうかと研究棟に向かう渡り廊下から男女の声が聞こえる・・

あ、バレンタインデーだもんね告白だよねなんて思って通り過ぎようと思った時に

「私は高校生の頃から翔が好き。真央と別れて」

え?突然の(翔・真央)のワードに立ち竦んでしまう。

「夏海・・颯真は?」

その声は翔だった

「翔の近くに居たいから颯真に告白されて付き合っただけ。昔から翔だけが好きなの」

私は全身から力が抜けるような気がした・・

ここに居てはいけない。
これ以上二人の会話を聴いたら私は狂ってしまう・・
最後の力を振り絞って来た道を走る。

気が付いたら駅のベンチに座っていた。
「は、あの二人両想いだったんだ・・」

口にすると痛みが倍で押し寄せてくる。もう泣かないと思っていたのに溢れる涙をどうする事も出来なかった。
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