身代わりでも傍にいたかった
少しすると隣が静かになる。
多分帰ったんだ・・
少しして私のスマホが鳴る。
翔からメッセージが入った。
「今、どこ?」と・・私はそのメッセージを開かなかった。
終電ギリギリで帰宅した私はシャワーを浴びながらお風呂場でうぁんうぁん泣いて胃の中に入っていた物全てを吐き出してしまった
出しても未だ気持ちが悪かった。
翌朝、翔から何通もメッセージが入っていたが返信しないでそのまま寝続けた。
寝ている間だけは苦しくなかったから。
好きな翔を諦める事も問い質す事も出来ない意気地なしの私はその日自分を殺した。
自分を殺してからもう、一年も経っていた。
あの日から私は気が付いた。
夏海と颯真が凄く仲良くしていたり、出掛けるのを目の当たりにすると私の部屋に来て私を抱き潰す事に。
そう言えばデートした場所は夏海と話していて彼女が行きたいと言っていた場所が多かった。
そうか翔は私と出掛けていて夏海とデートしている疑似デートを楽しんでいたんだ。
いつか夏海とデートした時に完璧にエスコート出来るように・・
全てのパズルのピースがはまった。
それは本当のパズルの様に達成感もなければ感動も無かった。
ただ悲しかった。
それでも私は翔と別れられずにいた。
夏海との遣り取りを見るたびに、私を抱き潰すたびに、
その痕跡をシャワーで流しながら今日こそ別れを口にしようと思うのに
二人の時にフッと見せる笑顔に温かい手を勘違いしてしまうのだ。
でも、そんな関係も終わりが見えていた。