翔ちゃんと花火デートの夢叶いました

どうするつもりなんだろう。


差し出された手に掴まって、ちょっとドキドキしながら片方の下駄を脱ぐと、なんの躊躇もなくその下駄に翔ちゃんは足を突っ込んだ。


「えーっ、ワイルド!」


もう片方も同じようにして、その所要時間わずか数秒。


「履いてみ?」

「……うん」


促されるまま履くと……当たらない!
痛くない!
固かった鼻緒が広がってなんならソフトタッチなんですけど!


「なにこれ、すごい!」

「だろ、男の力技」

「ひらめきの天才じゃん!」

「それは大袈裟でしょ」

「そうかな?」


もう痛くないから、足取りは軽い。
気持ちのままウキウキ歩けるこのしあわせをなんて呼ぼう。


「俺27.5。美緒は?」

「22.5だよ」

ちっちぇ!って笑われた。
そんな笑うとこ?


「イロチのスニーカー今度買いにいかね?」


それはおそろい……てやつだよね。
なんて。なんて素敵な響きなんだろうか。


「あと、困ったときは助けるから。ちゃんと言えよ?」

「うん……あ、ありがとう」


しょっぱなから翔ちゃんの男前度がすごすぎて、さっそく挙動不審気味です。

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