翔ちゃんと花火デートの夢叶いました

「怒った?」

「いや別に怒ってないですけどね!」


そう言いながらも怒りが駄々もれ。


「だってさ」

「だって、って言葉は言い訳するときの接続詞だよね?」


不機嫌なあまり私の方が優勢になるという珍現象まで起こってるし!


「だって後ろ姿見たかったから。遠目に」

「遠目に?」


彼はマニアックなんでしょうか?


「ついでに怒った顔も見れたしラッキー」

「ラッキー、って……」


子供みたいに何言っちゃってんだ。


「あと不安そうに俺のこと探してるのもなんかグッときた」


「うっ……」


私、まぁまぁ怒ってたと思うんだけど、そんなふうに言われると何も言い返せなくなる。


戦意喪失どころかすぐドキドキしちゃって、ほんと情けない。


「でもナンパされたら困るからやっぱちゃんと捕まえとこ。美緒も離れんなよ?」


「……うん」


ニコニコ笑って手を繋いでくる。
そんなふうに翔ちゃんにはいつもやられっぱなし。


思うがままに、やっぱり今日も彼の手のひらの上で転がされてます。
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