やさしいベッドで半分死にたい【完】
最後まで迷惑をかけ続けた。終わりも最低だった。

花岡は、何一つ文句も言わずにすべての後始末を引き受けてくれた。

あの時「一緒に行きますよ」と言ってくれた花岡の哀れみは、いまだに頭の裏にこびりついている。ひどく苦しい記憶の一つだ。


困ったような、怒ったような、苛立ちのような表情の花岡が、私の肩に指先を置いて、耳元に顔を近づける。

よく聞こえるようにと髪を耳にかけられて、自然と瞼がぎゅっと降りてしまった。こんなふうに優しく触れられるとは思わない。だから、妙にくすぐったくて、まるで夢みたいだ。いつも見ている悪夢とは違う、都合が良いだけの、優しい夢。


「ダメか」


困ったような声だった。私を攫ってしまおうと本気で思っているらしい。耳に寄せていた顔を私の目の前に持ってきて、瞳を見つめてくる。

こんなにも綺麗な目を持った人だったのか。

ほとんど顔を見つめるのが恐ろしくなって俯くことばかりしていたから、気づけなかったのかもしれない。


「わたし、仕事が……」


何度求められるものに近づけようとしても、遠ざかるばかりだ。プレイヤーではなくなってしまったから、何か求められるものを形にしなければならないことだけはよくわかっていて、必死になっていた。

けれど報われるわけじゃない。
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