やさしいベッドで半分死にたい【完】
急激に足元が暗くなる。
息が擦り切れてしまいそうだった。勝手に自分自身に当てはめて、くるしんでいる。どうしてこんなにも滑稽なのだろう。
引きつりそうな笑みを必死で繕っていた。私の表情に気づくことなく、その人が笑って口遊む。
「それならもっといいですね。俺の愛が、ayaちゃんを救っているなら。……藤堂さんも、そうなんですか?」
「私は……、どうでしょうか」
もうこんな私を愛してくれるような人なんて、どこにもいない。あの頃の藤堂周など、どこにもいない。
言いかけて、口を噤んだ。まっすぐに見つめてくる瞳に気を取り直して、声を上げる。
こんなふうに人の目を見ながら会話すること自体が久しぶりのことだった。だからだろうか、普段は言わないような言葉が漏れ出てしまった。
「あなたのような素敵な方が聴いてくれていたなら、きっと思っていたと思います」
口に出しながら自嘲してしまいたかった。
聴いてもらえるような曲を作ることもできない。求められるものを作ることも、表舞台に立ち続けることもできなくなってしまった。
挙句の果てに、もう頑張りたくないとか、自分でいたくないとか、そんなことを思うような人間だ。愛される価値もない。
居心地の悪さの正体を当てられてしまったような感覚があった。目をそらして、必死に息を繋いでいる。