やさしいベッドで半分死にたい【完】
もう一度つぶやいて、喉の奥から嗚咽のような何かが鳴った。
必死で押し隠している。
布団の中に潜って、くるしい呼吸を続けている。
南朋さん、南朋さん。
泣いているなんて知ってしまったら、きっと飛んできてくれるだろう。やさしい人だった。まっすぐで、あたたかくて、誠実な人だ。
きっと、私のことをどこまでも大切にしてくれる。わかっているから、やっぱり巻き込んではいけなかった。
好きの重さで、花岡南朋という人の人生を滅ぼしてしまう。
もう、呼ぶのはやめよう。何度も決めたことをもう一度思い浮かべた。
最後くらい、一緒に眠りたいといえばよかった。バカみたいなことを考えている自分に気づいて、泣きながら笑えてしまう。
最後なら、めいっぱい抱きしめてもらえばよかった。甘えて、そのやさしさで自分を忘れてしまえばよかった。できないことくらい、わかっているくせに。
たくさんの愛をもらった。きれいな夜空に浮かべて、いつも指先で導いてくれていた。すこしもためらわずにまっすぐに囁いてくれていた。まぶしすぎる人だったのだと思う。
素晴らしいマネージャーだと思う。
納得させるように胸の内で囁いている。すごい人だ。昔からそうだったけれど、とても仕事のできる頼れる人だ。だから、私なんかじゃなく、もっと輝ける人のために、生きていける。