やさしいベッドで半分死にたい【完】

「お、トモ先輩、おかえりっす~、……って、ええええええええええ! あ、あ、あ、周ちゃん!? ええ、周ちゃん!? うわ、おかえりなさい! ごはん、ババア、ごはん! ご飯作んねえと!」

「アキオうるせえな」


騒がしく鳴り響いている。玄関で立ち尽くす私に声をかけて、待ってくれている。

おかえりなさいと言われていたのか。いつの間にか、この場所が帰る場所になっていた。


「えっ、どうしたの~!? 周ちゃん!? ええ、アキオうるせえから周ちゃん泣いちゃったじゃねえか。お前シメる」

「ぎゃあああ、待った、待ってください。周ちゃんの泣き顔……、か、かわ」

「あんたらうるさいよ。あっち行ってな」


ぴしゃりと言われて、二人がしぶしぶ居間へと向かっていく。

言葉にならないまま、ただ涙だけがこぼれだして、止まってくれない。いつもあこがれて、そばにあってほしかった。


「あまねちゃん? なしたの?」


やさしい指先が私の手を取った。働き者のしわしわの指が触れる。

きっと、水仕事だって、畑仕事だって、どんなことでも自分一人でやってきただろう。たくましい、かっこいい指先だった。ぽたりと涙がこぼれ落ちてしまう。


「なおちゃんに、ひどいこと言われたかい」

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