やさしいベッドで半分死にたい【完】
“日本語は読めますか? 藤堂周さんの音源、毎日聴いています”
なぜか私には、その言葉こそが彼女の本心のような気がしていた。
つらつらと書き続けられた称賛よりも、この一文に心揺さぶられて、はじめて返事を書きつけた。
もちろん日本語で書き起こして、何度も誤字脱字がないか確認を怠らなかった。
やさしい記憶だった。
できればまた、この人と話がしたいと思ってやまなかった。なぜと聞かれてもわからない。
たくさんの称賛に疲れ切っていた。きっとすべてとは言わなくとも、そのうちのいくつかは本心からの言葉だっただろうと思う。けれど、すべてが本当かと言われれば疑わしい。
装飾でまみれた言葉ばかりが耳に反響していた。だからこそ、強烈に惹きつけられたのかもしれない。
彼女は――花岡は、決して、素晴らしいとも素敵だとも、驚きだとも何とも言わなかった。
ただ一言、毎日聴いていますと書き記してくれた。
まるで、今日の日の花岡と同じだ。
生活の何気ない根幹に、私を置いてくれているのだと信頼させる力があった。
決して飾ったりしない。
過大評価どころか、評価するような言葉もない。ただそこにある。常に側において、大切に扱ってくれている。