やさしいベッドで半分死にたい【完】

だから、大丈夫。

やさしい声が響き続けている。どうにも止まらなくて、力が抜けてしまった。ぺたりと床に座り込んだら、同じくしゃがんだ人が私を見つめていた。


「ナオ、周ちゃんのこと、助けられてる?」

「……じゅうぶん、すぎる、くらい」

「そっか。じゃあ、もう、笑ってられる?」


花岡は、ずっと前から教えてくれていた。ずっと勘違いしていたのだ。私は、期待に応えようと思うばかりだった。けれど、花岡が本当に求めていたことは――。


「……花岡さん、私が、笑っているだけで、喜んでくれるんですか」


つぶやいた息が、どうしようもなく熱い。

言いながら、それが花岡の本心なのだと勝手に思いあがってしまった。森山は、当然のことみたいに頷いて「知らなかったのかあ~」と笑ってくれる。


「それって、やさしすぎます」

「まあ、惚れた弱みだよね」

「私、間違えちゃいました」

「うん?」

『大丈夫です。頑張れます』


頑張れるなんて言葉、花岡は望んでもいなかった。

もうやらなくて良いとも、忘れて良いとも言ってくれていた。好きなことをすれば良いのだと教えてくれていた。どうして私は、気づけなかったのだろう。


「南朋さんのこと、傷つけました」

「ああ、大丈夫大丈夫。あいつ無敵だから。……まあ、そうだなあ。もし、南朋を元気にさせたいんなら、簡単だ」

「かんたん、ですか?」

「――周ちゃんの好きなこと、続けてみればいい」



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